ブラック企業の洗脳

<洗脳> 前記事
私が学生の頃、オウム真理教の事件が大々的に報じられていました。
その頃、洗脳される人って不思議と、どこか他人事で眺めていました。
しかし、自分も実は洗脳に近いような常識の刷り込みで脳が支配されていたことに気づくことが何度もあります。
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時々、突拍子もない、なぜこんなことを覚えているのだろうという、大量の雑談のなかの一フレーズを定期的に思い出すことがあります。
そのフレーズに、私が新入社員として入社したIT企業の同期の言葉があります。


居酒屋で、お互いの仕事の状況など情報交換をしていたと思います。
西暦2000年前半のIT業界は、どの職場も定時が22時くらいだったと思います。
午前2時や3時にメールが飛び交っていました。
毎日何名かが徹夜していました。


お互いそんな状況で、話題は残業の話になっていました。
同期は、仕事は毎日24時過ぎまで働いて、その後上司と飲みに行くというような話をしていました。
残業一時間だけをつけるのは恥ずかしい
同期はそんなことを言いました。これが、定期的に思い出す同期のフレーズです。
9時-18時勤務だったので、19時台で帰った場合は、残業はつけない。それも恥ずかしいからという理由で。という意味です。
私は、上司から「30分の残業はつけるな」と言われていましたが、一時間残業したときは1時間つけていたので、顔から火が出そうになるほど恥ずかしかったのを覚えています。


しかし、本来は15分単位で残業をつけるのが正しいのです。
24時間のうち、健康を維持するためには7時間以上の睡眠(8時間が望ましい)が必要で
6時間に満たないと、健康を害すると言われて久しい昨今。
会社へ出かけるための身支度1時間、通勤往復2時間、勤務8時間+休憩1時間で12時間になります。さらに、お風呂や家事や食事で最低2時間、睡眠7時間とすると、自由時間はたったの3時間を切る勢いです。平日の1時間というのは、この貴重な時間の3分の1にあたります。


「残業一時間だけをつけるのは恥ずかしい」
それは、ブラック企業によくある洗脳なのです。
その言葉を聞いて、残業1時間をつけたことを、顔から火が出そうに恥ずかしいという私も洗脳されていたのです。


その洗脳の威力は凄まじく、転職してからは、みんな15分単位で残業をつけているのに
15分単位で残業をつけることがどうしてもできなかったのでした。

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